中流意識が未だ根強い日本、だが格差は拡大してます…

1億総中流時代から、貧富の差が拡大する時代へ

今から約30年前、「1億総中流」という言葉が生まれ、日本の社会ではほとんどの人が自分は中流―つまり、自分のことを『まあまあ金持ち』だと思っていました。日本国内では平均的かもしれないけど、世界のなかでは中の上、GDPも半世紀でアメリカに次ぐ世界2位までに上昇したんだし。アジア諸国ではトップクラスだろう―と。

バブル崩壊から20余年、今では「格差社会」と言われるようになり、非正規雇用者が増加の一途を辿っています。ところがそんな今日でも、まだ『自分はまあまあ金持ち』だと思っている人が多いのでは、と言われています。

これは何もバブル期を生きたとされる、45歳~65歳の世代に限らず、派遣やバイトで生計を立てている若い人たちですら、アジア新興国などに比べれば自分たちはまだまだ良い暮らしをしている、と能天気に思い込んでいるように見えます。

 

ほとんどの日本人が、世界の実態を知らない

日本に留まっていることが大きなリスクに― そう語るのは、ファーストリテイリング社長の柳井正氏。

バブル崩壊後、中国を筆頭にアジア諸国は軒並み急激な経済成長を遂げています。ところが、世界のGDP推移を見ても、日本だけずっと横ばいで成長していません。そして2010年ついに中国に抜かれました。

また、圧倒的な勢力を誇っていた家電製品は、今やサムスンやLGにシェアをどんどん奪われています。携帯電話市場にしても、ドコモのiモードは革新的でしたが、結局あれは国内でしか通用しませんでした。だから「ガラケー」と言われるわけですが…

日本のものづくり、職人技術はそう真似できるものではないと思います。しかし、外国大手の巨大資本がその気になれば、技術もろともアッサリと買収なんてあり得えない話ではないのです。

あるいは、技術自体がどんどんコモディティ化するなかで、各国メーカーは「水平分業型」のビジネスモデルを展開しています。その典型が、アップルとサムスンです。

日本はメーカーが部品メーカーと共同開発、生産する「垂直統合型」。しかし、アップルなどのように圧倒的な規模のネットワークをもち巨大化を図るビジネスモデルに、コスト面で太刀打ちできなくなりました。だから日本の一流エレクトロニクスは大量のリストラをすることになっていったのです。

 

いいものを作っていれば必ず売れる、はもう通用しない

そもそも日本の製造業には、「いいものを作っていれば必ず売れる」という技術信仰が根強いように思います。柳井氏は、いまは時代は変わったと言います。

例えば日本のテレビリモコンは、液晶から90度の位置からボタンを押しても反応するように設計されています。それは確かに優れた技術ですが、でも別に、そこまでの機能、なくてもいいんですよね。正直。サムスン製にはそんなのないし、高画質なものを、安く。それでいいのが今の時代なのです。

日本のメーカーは、他社にはない機能を持たせるにはどうするか、という考え方から脱却できなかった。これがガラパゴス化の一因と言われています。

柳井氏は次のように語っています。

一人ひとりが今一度、自分たちの置かれている状況をハッキリと正しく認識し、そこからどうすれば浮上できるかを真剣に考えないといけない。そして浮上する方法は1つ、経済的自立を目指すこと。

 

 

今から20年前、AmazonやFacebookは誕生すらしていませんでした。アップルやサムスンの売上は、ソニーの何分の1ってレベルでした。

それだけの変化が起こっているのに、ピンとこない。危機感が持てないから、「このままではいけないから、なんとかしないと」という気にもならない。

そして、本当になんとかしないと、という気になった時にはもう手遅れ、という最悪の事態は避けたいです。いま、社会では何が起こっているのか、現実をハッキリと認識することが、非常に重要だと感じずにはいられません。